オリジナルCMS・運用DX

2026年以降、Web運用の前提は大きく変わります。生成AIとの連携、セキュリティ脅威の高度化、公共・企業サイトのガバメントクラウド化、そして多様化する表示デバイス。この環境変化の中で、私たちシステムエンジニアが重視しているのは「止まらない」「迷わせない」「拡張し続けられる」運用基盤をどう提供するかです。そして、それを最も無理なく実現できるのがオリジナルCMSだと考えています。

まず、既存の汎用CMS（WordPress など）は便利である反面、多数のプラグイン依存や外部モジュールの更新に運用が左右され、組織の運用フローに合わせづらいという特性があります。これは日常運用では見えにくいのですが、障害時や脆弱性対応のタイミングで大きなリスクとして表面化します。とくに2026年以降はゼロトラスト前提のセキュリティ要求、監査ログの厳格化、ガバメントクラウド基準の運用が求められるため、ブラックボックス化した外部プラグインを前提とする構成は組織的なリスクになります。

オリジナルCMSはこの問題を根本から解消します。
完全自社開発により、「不要な機能がひとつも載っていない」純粋な設計が可能で、結果として高速・軽量・高セキュリティを自然に実現できます。また、運用フローにあわせてCMSそのものをカスタマイズできるため、サイト運営者が「CMSに合わせる」のではなく「CMSを業務に合わせる」運用に変えられます。

たとえば、公開権限の細分化や、ページ単位の承認プロセス、新任担当者でも迷わない画面構成、多言語展開にあわせた入力枠の自動生成、APIを活用したサイネージ連携、サイト更新とSNS更新の一元操作など、汎用CMSでは“なんとか実現”はできても、純粋な使いやすさ・安定性では限界があります。

さらに2026年以降はAI × CMSの連携が当たり前になります。原稿草案生成、既存ページの改善提案、構造化データの自動生成、アクセシビリティ判定、そして多言語翻訳の品質管理まで、運用者の作業を補助するAIが実務の中心になります。この時、外部プラグイン前提のCMSでは AI API の組み込み・制御・ログ追跡が複雑になり、結果として“AIを安全に使えないCMS”になってしまいます。

オリジナルCMSであれば、AI連携の設計思想から運用ログの構造までを自社で統制できるため、公共基準・企業基準のガバナンスに適した形で AI活用を組み込めます。この柔軟性は、2026年以降の業務DXにおいて大きな差になります。

また、可用性と災害対策も重要です。オリジナルCMSはインフラ側の構成（WAF / CDN / LB / 冗長化Web / セキュアCMS環境 / 監視基盤）と密に連携し、運用者が意識しなくても高い安定性を担保できる設計にできます。汎用CMSのように“プラグインの相性”や“テーマ更新の影響”に怯える必要はありません。私たち開発者が責任をもってシステム全体を統制できるため、障害原因の切り分け・復旧も格段に早くなります。

最後に、運用の“見える化”です。編集履歴・操作ログ・公開スケジュール・ワークフロー・PV連動の改善提案など、2026年以降のCMSは「更新して終わり」ではなく「更新した結果を改善に繋げる」仕組みが求められます。オリジナルCMSは内部構造を最適化できるため、こうした運用データを分析しやすい形で保持でき、GA4や独自BIと組み合わせた改善PDCAが容易になります。