ビジネスパーソンにとって、
メールセキュリティの知識は?
2025.12.08
ビジネスパーソンにとってのメールセキュリティ知識を一言で表すと、「ITの技術的な仕組み」ではなく、「詐欺やミスの手口を知り、騙されないための行動習慣」のことです。車に例えるなら、エンジンの構造(技術)を知る必要はありませんが、「信号の見方」や「飛び出しの危険予測」(交通ルールと防衛運転)を知らなければ事故を起こします。これと同じです。具体的に、ビジネスパーソンが覚えておくべき「3つの基本」を紹介します。
1.「攻撃者」の手口に関する知識(外部脅威)
「ウイルスメール=怪しい日本語」という時代は終わりました。現在は「業務になりすます」のが主流です。次の3つの手口を知っておくことが大切です。
フィッシング詐欺(ID盗取)
- 手口
Amazon、Microsoft、銀行、宅配業者などを装い、「パスワードの期限切れ」「緊急の確認」などの偽メールで偽サイト(フィッシングサイト)へ誘導し、ID・パスワードを入力させる。
- 必要な知識
メール内のリンクは安易にクリックしない。ログインは必ずブックマークや公式アプリから行う。
Emotetなどのマルウェア(ウイルス感染)
- 手口
過去に自分がやり取りしたメールへの「返信」を装って送られてくる。添付ファイル(ExcelやZIP)を開かせて感染させる。
- 必要な知識
知り合いからのメールでも、内容が不自然だったり、マクロを有効にするよう求められたら開かない。
ビジネスメール詐欺(BEC)(金銭詐取)
- 手口
経営層や取引先になりすまし、「極秘案件」として急ぎの送金を指示したり、振込先口座の変更を依頼する。
- 必要な知識
メールだけで送金処理や口座変更を行わない。必ず電話等の別ルートで確認する。
2.「自分」のミスに関する知識(内部脅威)
情報漏洩の原因の多くは、ハッキングではなく「うっかりミス」です。
誤送信(宛先間違い)
- リスク
オートコンプリート機能(予測変換)で、同姓同名の別人に顧客リストを送ってしまう等。
- 必要な知識
送信前に必ずチェックし、BCCに入れる相手をTOやCCに入れていないか確認する。
添付ファイルの取り扱い
- リスク
機密情報をパスワードなしで送る、あるいは間違ったファイルを添付する。
- 必要な知識
誤送信対策としてのクラウドストレージ共有の活用や、ファイルの暗号化手順。
3.「環境」を守る知識(アカウント管理)
家の鍵を扱うのと同じ感覚で守ることが大切です。
パスワード管理
- 必要な知識
使い回すと1つ漏れただけで全て危険になることを理解し、推測しやすいパスワード(会社名+2025など)は使わない。
多要素認証(MFA/2FA)
- 必要な知識
パスワードだけでは守れないと理解し、スマホ認証なども必ず設定する。
OS・ソフトのアップデート
- 必要な知識
更新や再起動を後回しにすると、セキュリティの穴を放置することになると理解する。
何を知っていれば「合格」か?
ビジネスパーソンとしては、次の状態なら十分な知識があると言えます。
「怪しい」の感度が鋭い
- 「緊急」「変更」「ここをクリック」などの言葉を見た瞬間に、「これは罠かもしれない」と一時停止できる。
確認を面倒がらない
- 不審な点があれば、送信者にチャットや電話で「今メール送りました?」と聞くことを躊躇しない。
ルールを守る意味を理解している
- 会社が定めるセキュリティ対策(パスワード変更やWeb閲覧制限など)を、「業務の邪魔」ではなく「自分と会社を守る盾」だと認識している。
クイズ
あなたのセキュリティ感度を試せる簡単なクイズ(全3問)
『+』をクリックすると回答が表示されます。
A
表示されているリンクの文字列と、実際の飛び先(URL)が異なるケースが多いため、ドメインの確認が最も確実な見極め方法です。
D
「メール以外の経路(電話やチャット)」で本人確認を行うことが、なりすましを見破る唯一の確実な方法です。
C
文脈が不自然(具体的な要件がないなど)な場合、ファイルを開く前に本人に確認を取るのが最も安全な対処法です。