お使いのブラウザは古いバージョンです。より高速で安全なブラウジング体験をお楽しみいただくには、今すぐ無料でアップグレードしてください。
Loading

サイバーセキュリティ対策

2025.12.10

中小企業にとって、サイバーセキュリティ対策は「コスト」ではなく、事業を継続するための「必須の投資」です。大企業と違い、専任のセキュリティ担当者がいない場合が多いと思いますので、「低コスト・高効果」かつ「今日から始められる」優先順位の高い対策を整理しました。

1.なぜ中小企業が狙われるのか(現状認識)

まず、「ウチのような小さな会社には盗むデータがない」という考えを捨てることが第一歩です。攻撃者の目的は変化しています。

  • サプライチェーン攻撃の踏み台
    大企業への侵入は難しいため、セキュリティの甘い取引先(中小企業)を踏み台にして大企業へ侵入する手口が増えています。
  • ランサムウェア(身代金)
    企業の規模に関わらず、データを暗号化し、「業務を止めること」を人質に身代金を要求します。
  • 無差別攻撃
    自動化されたプログラムが、セキュリティの穴があるサーバーやPCを無作為に探しています

2.技術的な対策(まずやるべき「基本のキ」)

高価なツールを入れる前に、以下の基本的な設定を見直すだけでリスクは劇的に下がります。

  • OS・ソフトの更新(脆弱性対策)
    Windows、Mac、ブラウザ、ウイルス対策ソフトを常に「最新」に保ってください。自動更新をONにするのが最も確実です。
  • 多要素認証(MFA/2FA)の導入
    Google Workspace、Microsoft 365、クラウド会計ソフトなどのログインには、パスワードだけでなく「スマホ認証」などの多要素認証を必ず設定してください。パスワードだけでは容易に突破されます。
  • データのバックアップ
    ランサムウェアに感染した場合、バックアップが唯一の復旧手段です。
  • 外付けHDD(通常は外しておく)と、クラウドストレージの2箇所に保存するのが理想です。

3.組織・人への対策(「うっかり」を防ぐ)

技術で防げないのが「人のミス」です。

  • 不審なメールへの警戒
    「請求書」「至急」といった件名のメールに添付されたファイルやURLを安易に開かないよう、社内で周知徹底します。
  • 私物端末・USBの利用制限
    社員個人のスマホや、出所不明のUSBメモリを社内PCに接続させないルールを作ります。
  • 退職者のID削除
    退職した社員のアクセス権限(メール、クラウドサービスのアカウント)は即座に停止・削除します。

4.万が一への備え(事後対応)

「100%防ぐこと」は不可能です。侵入された後の動きを決めておきます。

  • 相談窓口の確認
    何かあった時、どこに連絡するか決まっていますか?(保守ベンダー、警察のサイバー犯罪相談窓口など)
  • サイバー保険の検討
    情報漏えい時の賠償金や、調査費用、システム復旧費用は数千万円になることもあります。商工会議所などが提供する安価なサイバー保険への加入を検討してください。

5.最初に活用すべき公的リソース

日本には中小企業向けの優れた支援制度があります。まずはここから始めるのが最も効率的です。

  • IPA(情報処理推進機構)「SECURITY ACTION」
    「情報セキュリティ5か条」に取り組むことを宣言する制度です。ロゴマークを名刺やHPに掲載でき、取引先への信頼アピールにもなります。
  • お助け隊(IPA実証事業)
    中小企業向けに、安価でサイバーセキュリティ機器の貸出や監視を行うサービス群です。

まとめ:優先順位チェックリスト

まずはこの3つを完了させるだけでも、防御力は格段に上がります。

  • 1)全PCのOSアップデートを「自動」にする
  • 2)メールやクラウドサービスの「多要素認証」をONにする
  • 3)重要なデータの「バックアップ」を取り、復元できるか試す