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【注意喚起】AIなりすまし(音声・動画・メール)はここまで進化した|最新手口と対策

結論:見抜くのではなく、仕組みで防ぐ(ゼロトラスト+MFA+OOB確認)

生成AIの進化により、攻撃者は数秒のサンプルで「声」を複製し、リアルタイムで「顔」をすり替え、違和感のない「ビジネスメール」を作成可能になりました。もはや目視や文面の違和感だけでは判断できません。重要なのは、ゼロトラストを前提に、多要素認証と本人確認ルート(OOB)の多重化で「システムとして防ぐ」ことです。

今すぐやることチェックリスト

  • 3分でできる対策
    MFA必須化、送金はOOB確認、コールバック、承認フロー固定
  • 1週間でやる対策
    S/MIME / DMARC運用、FIDOキー配布、ログ監視
  • 体制整備
    教育、心理的安全性、インシデント連絡手順

生成AIで変わる「なりすまし」3つの脅威

これまでのフィッシング詐欺やなりすましとは異なり、AIを悪用した攻撃は「本物と見分けがつかない」レベルに達しています。主な3つの脅威を整理します。

  • 1)【文面】違和感のない「完璧な日本語」メール

    これまで、フィッシングメールを見抜くポイントは「不自然な日本語」や「文法の誤り」でした。しかし、ChatGPT等のLLM(大規模言語モデル)を悪用することで、攻撃者は流暢で丁寧なビジネスメールを瞬時に作成可能になりました。特に、取引先や経営層になりすますBEC(ビジネスメール詐欺)において、文面だけで偽物と判断するのは極めて困難になっています。

  • 2)【音声】たった数秒で複製される「声(Vishing)」

    Vishing(ボイスフィッシング)の進化は脅威です。最新のAI音声クローン技術は、わずか数秒程度の音声サンプルがあれば、その人の声色、話し方の癖、イントネーションを再現できます。「社長からの電話で至急の振り込みを指示された」というケースでも、その声がAIで作られた偽物である可能性が現実味を帯びています。

  • 3)【動画】Web会議も欺く「ディープフェイク」

    リアルタイムで顔をすり替えるディープフェイク技術により、Web会議システム上でのなりすましが可能になっています。海外では実際に、Web会議でのディープフェイクを悪用した送金詐欺被害も報告されています。

なぜ今、リスクが急増しているのか

背景には「攻撃ツールの民主化」があります。高度なプログラミング知識がなくても、安価(あるいは無料)のAIツールやアプリを使うことで、誰でも高度な偽造コンテンツを作成できてしまいます。これにより、特定のターゲットを狙い撃ちにする「スピアフィッシング」が、かつてないスピードと量で実行されるリスクが高まっています。

企業と個人ができる具体的な対策

AIによるなりすましを防ぐには、「目や耳を疑う」だけでは不十分です。システムとルールの両面で対策を講じる必要があります。

組織・システム面での対策

  • 多要素認証(MFA)の徹底
    パスワードに加え、生体認証やFIDOセキュリティキー、認証アプリなどを必須化し、アカウント乗っ取りを防ぎます。
  • 電子署名(S/MIME等)の導入
    メールの送信元が正当であり、改ざんされていないことを証明する技術を導入します。
  • 「ゼロトラスト」前提の運用
    「社内の人間からの連絡だから安全」という性善説を捨て、すべてのアクセスや指示を検証する仕組みを構築します。

人的・運用ルールでの防衛術

  • 検証チャネルを変える(OOB検証)
    メールや電話で金銭に関わる指示や、パスワード変更の依頼が来た場合、必ず「別の手段(チャットツールや内線など)」で本人に確認を取るルールを義務付けます。
  • 「合言葉」を決めておく
    アナログですが強力な手法です。緊急時の連絡用に、家族や重要な承認者間で、AIが推測できない「合言葉」を共有しておきます。

よくある質問

文面だけで見抜くのは困難です。しかし、「緊急性を強調する」「通常と異なる口座への送金を求める」「ログインを急かす」といった心理的な罠には共通点があります。内容に少しでも違和感を覚えたら、リンクはクリックせず、ブックマークから公式サイトへアクセスしてください。

現在の技術では、「横顔」や「顔の前で手を振る動作」の再現に弱点がある場合があります。相手に「横を向いてもらう」「手で顔を覆ってもらう」などの動作を求め、映像に乱れが生じないか確認するのも一つの手段です。

発信者番号通知だけを信用せず、一度電話を切ってから、あらかじめ登録してある正規の電話番号に自分からかけ直す(コールバックする)のが最も確実です。 AI音声クローン技術は、「声」は模倣できても、リアルタイムの会話での「記憶」や「文脈」までは完全に再現できないことが多いため、「直近の会議での雑談」など、本人しか知り得ない話題を振るのも有効な確認手段です。

組織内であれば、速やかにシステム管理部門へ報告し、ネットワークからの切断とパスワードの変更を行ってください。 金銭的な被害や情報漏洩の可能性がある場合は、最寄りの警察署(サイバー犯罪相談窓口)や、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ安心相談窓口」へ相談してください。被害拡大を防ぐため、自己判断で解決しようとしないことが重要です。

「怪しいものは開かない」という従来の教育に加え、「AIを使えば誰でも本物そっくりの偽装ができる」という現状の共有が不可欠です。また、従業員が確認作業を躊躇しないよう、「不審に思って確認することは失礼ではなく、推奨される行動である」という心理的安全性の確保(セキュリティ・カルチャーの醸成)を組織として行うことが、防御力を高める鍵となります。

まとめ

AI技術の進化は利便性をもたらす一方で、セキュリティリスクも高度化させています。「自分の会社は大丈夫」「自分は騙されない」という過信が一番の隙になります。
バンブーハウスでは、Webサイトのセキュリティ診断や、最新の脅威に対応したサーバ構成のご提案を行っております。 「今のセキュリティ対策で十分か不安」という場合は、お気軽にご相談ください。

参考情報

  • 公開日 2026.01.24
  • 情報セキュリティ統括責任者 竹内勇人