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日本マーケティング協会とバンブーハウスの対談メインビジュアル。煩雑な手作業の書類管理から、セキュアなデジタルシステムへとアワード選考プロセスが刷新される様子

日本マーケティング大賞の選考プロセスを刷新。
手作業から脱却し、
選考の「確かさ」を守る仕組みとは

日本マーケティング協会(JMA)が主催する「日本マーケティング大賞」は、2026年に第18回を迎えた、日本のマーケティング界を牽引する賞である。多くのエントリーと厳正な審査に支えられる同賞ですが、その裏側では長年、膨大な手作業による運営負荷という課題を抱えていた。
この選考プロセスを、エントリーから最終選考まで一気通貫でデジタル化する新システムへと刷新したのがバンブーハウスである。
効率化の先にある「選考の価値向上」をいかに実現したのか。そして、あえて「AIを使わなかった」理由とは——。日本マーケティング協会の高田さん、石井さん、バンブーハウスの佐藤さんに聞いた。

第1部|権威ある賞が背負う「選考プロセスの透明性」

まず、日本マーケティング大賞がどのような賞なのか教えてください。

日本マーケティング協会 髙田氏

日本マーケティング大賞は、その年の優れたマーケティング活動を表彰する賞です。第18回を迎え、毎年多種多様なプロジェクトにエントリーいただいています。私たち協会が何より重んじているのは、選考結果の華々しさだけでなく、「いかに厳正に、公平に選ばれたか」という選考過程の確かさです。このプロセスに対する信頼性こそが、賞の権威を支えていると考えています。

日本マーケティング協会 石井氏

応募は、自薦・他薦を問わず受け付けており、企業や団体自社の取り組みや、優れていると感じた他社の事例を推薦してくださる。こうして集まったエントリーを、協会で一次選定し、外部の審査員の皆さまに審査していただく——という多段階のプロセスを踏みます。

バンブーハウス 佐藤氏

最初にお話を伺ったとき、いちばん印象に残ったのが、まさにその「過程の確かさ」への強いこだわりでした。歴史と権威のある賞ほど、選ばれた結果に説明責任が伴う。だからこそ、日々の運用のなかに潜む属人的なリスクや小さな負荷を、個人の注意に頼るのではなく、仕組みの側で根本から減らしておきたい——そこが出発点になりました。

第18回日本マーケティング大賞2026 ロゴ
選考システムを開発・構築しているイメージ

第2部|Before:フォーム、手作業のExcel、そして共有

システム化の前は、どのように選考を運営していたのですか。

日本マーケティング協会 石井氏

以前は、応募フォームでいただいた情報を、事務局で一度Excelにまとめ直していました。プロジェクト名や企業名、推薦の内容、成果の数字……といった項目を、一件ずつ確認しながら転記していきます。件数が多い年は、これだけで膨大な時間を費やしていました。

日本マーケティング協会 髙田氏

その集計したExcelを、今度は審査員の皆さまにお送りして、審査をお願いしていました。審査員ごとにファイルをやり取りするので、「どれが最新版か」「誰がどこまで見てくださったか」をメールの往復のなかで追いかけるのは、地味ですが非常に神経を使う作業でした。

日本マーケティング協会 石井氏

応募企業側から「入力内容を一部修正したい」とご連絡をいただくことも多々あります。以前はその都度メールでやり取りして、こちらで修正していました。一件ずつは小さな手間でも、積み重なると無視できない量になり、大きなリソースが割かれてしまっていました。

バンブーハウス 佐藤氏

お話を整理すると、課題は大きく四つありました。集計・集約における時間のロス。手作業の転記に伴う誤入力のリスク。審査員の皆さんとのデータ共有や進行管理の煩雑さ。そして、気密性の高い応募情報、ローカル環境やメールであちこちに分散するリスク。——どれも、多くの団体や企業に共通する「あるある」だと思います。

手作業でのデータ集計や、複数のExcelファイルが分散して管理が煩雑になっているイメージ
散在する情報をシステム化し、一元管理して課題を解決するイメージ

第3部|After:何が変わったか

新しいシステムで、運営はどう変わりましたか。

日本マーケティング協会 石井氏

いちばん実感しているのは、集計にかけていた時間が大幅に減ったことです。応募はこれまで通りフォームから入力していただくのですが、その情報がそのままシステムにダイレクトで格納されます。手作業でのExcel転記作業そのものが、完全に不要になりました。

日本マーケティング協会 髙田氏

管理画面を開けば、現在の応募状況やステータスをリアルタイムに確認できます。「いま何件集まっているか」を、待たずに把握できる。以前は集計が終わるまで全体像が見えませんでしたから、ここは大きな変化で、心理的なゆとりも全く異なります。

バンブーハウス 佐藤氏

応募者の方には、エントリー時にIDをお渡しして、締切前であれば自ら内容を修正・更新できる訂正フォームを実装しました。これで、訂正のたびにメールでやり取りする必要がなくなります。「人がやらなくてよい作業」を、一つずつ仕組みに引き取っていったイメージです。

システム管理画面:エントリー一覧や公開作業を行うスクリーニング機能

応募状況をリアルタイムに確認

応募者用画面:1次書類審査の応募内容を自ら修正できる訂正フォーム

訂正フォームから内容を直せる

転記のミスを、構造からなくす

日本マーケティング協会 石井氏

手作業の転記がなくなったことで、「写し間違い」や「集計の取りこぼし」といったミスの心配が、ぐっと減りました。データが直接集まる仕組みなので、そもそも間違いが入り込む余地が小さい。

バンブーハウス 佐藤氏

人は必ずミスをします。だから「気をつける」という精神論で解決しようとせず、「ミスが起きる工程そのものを設計で消し去る」ことにこだわりました。データの整合性を構造的に担保することが、賞の信頼性を守る最短ルートだからです。

審査員との共有・進行管理が、ひとつの画面に

日本マーケティング協会 髙田氏

審査員の皆さまには、専用のサイトにログインして審査していただきます。第18回の一次書類審査では、協会側で絞り込んだ約100件のエントリーから、審査員お一人につき10件を選んでいただきました。

日本マーケティング協会 石井氏

審査員の画面が、本当に秀逸なんです。ECサイトのお買い物のように、気になった候補をリストに追加したり外したりできる。そして選んだ数が規定の件数に達して初めて投票ボタンが表示され、投票できる仕組みになっています。迷いながら絞り込んでいく作業が、非常に直感的に行えます。

日本マーケティング協会 髙田氏

私たち管理側も、投票の状況をリアルタイムに見ることができます。候補ごとの得票の動きや、審査員ごとの進捗、まだ投票されていない方の把握まで、ステータスがひとつの画面で分かる。締切を設定すれば自動で締め切られ、即座に集計に反映されます。かつてファイルを回収し手計算していた頃を思うと、まったく違う世界です。

日本マーケティング協会 石井氏

続く二次審査では、一次を通過した案件から、グランプリ候補と奨励賞候補に絞り込んでいただき、それぞれに短い推薦の理由を添えて投票するフローに移行します。この際も、審査開始前に、応募者からの資料追加を一斉に締め切る機能のおかげで、「ここから先はこの内容で審査します」という情報の線引きが厳正に行えるようになりました。

審査員用画面:1次審査、2次審査、最終選考会へ進むためのナビゲーション

審査員の管理画面

システム管理画面:2次書類審査におけるログイン状況確認や修正停止の管理機能

2次書類審査の管理画面

情報の分散がなくなり、安心して扱える

日本マーケティング協会 髙田氏

応募情報には、機密性の高い企業情報も含まれます。以前はメールやローカルPCなどファイルがあちこちに散らばりがちでしたが、いまは一元管理された環境に集約されている。情報を扱う組織としてのガバナンスが大幅に強化されました。

バンブーハウス 佐藤氏

効率化そのものが目的だったわけではありません。転記や集計、進行管理といった本質的でない負荷をシステムが引き受けることで、人は「どのプロジェクトが本当に優れているか」という、いちばん大切な判断に集中できる。公平性と透明性を保ちながら、運営の手間を減らす。その両立が、設計の芯にありました。

日本マーケティング協会 石井氏

まさにその通りです。応募者・選考委員・運営の三者にとって使いやすい環境を整え、事務作業を減らして応募や審査そのものの質を高めることも目的でした。単なる効率化のためだけではなく、日本マーケティング大賞の価値向上のためのCMS化だったと捉えています。

「日本マーケティング大賞の価値向上」を裏付ける外部選考委員からの声

JMA側の実感だけでなく、実際にシステムを利用した外部の選考委員からも多くの声が寄せられている。こうした外部からの高い評価も、本システムへの刷新が「日本マーケティング大賞の価値向上」に直結したことを示している。

<昨年から継続して審査を担当している選考委員>

  • 「大変使いやすく、本当にスムーズに審査できた」(全員)
  • 「例年3日かかっていた審査が半日で終了。残りの時間は協議に充てられた」
  • 「数十個のExcelやPDFを並べる苦労がなくなり、ブラウザのみで快適」
  • 「スマホ対応が秀逸。移動中のタクシー内だけで全作業が完結した」
  • 「他賞の類似システムと比較しても、断然使いやすい」

<今年から加わった選考委員>

  • 以前の苦労は知らないが、何のストレスもなく滞りなく進められた(全員)

最終選考会も変わったそうですね。

日本マーケティング協会 髙田氏

はい。最終選考会は、会場に管理者(事務局)と審査員が集まって行うのですが、その場での投票をリアルタイムにできるようにしました。以前は紙で投票していたため、集計を待つ時間が発生していましたが、それがなくなったことで進行が非常にスムーズになりました。

第4部|今後の展望——「あえてAIを使わなかった」理由

昨今はAIの活用がよく話題になります。今回のシステムにAIは入っているのでしょうか。

バンブーハウス 佐藤氏

今回は、あえてAIを前面に出していません。まずは「手作業をなくす」「情報を一か所に集める」という土台を、確実に固めることを最優先しました。流行っているからという理由だけでAIを足すのではなく、いま本当に効く改善は何かを考えた結果です。

意外な答えですね。

バンブーハウス 佐藤氏

物事には順番が大事だと考えているんです。データがあちこちに散らばったままAIを乗せても、力を発揮できません。逆に、今回のように情報がきれいに集約された状態ができると、その先でAIが活きる素地が整います。たとえば集まったデータの傾向を見やすく整理する、といった支援は、将来的に十分考えられる。あくまで「次の段階」としての話です。

日本マーケティング協会 髙田氏

堅実に一歩ずつ進めていただけたのは、私たちとしても安心でした。

日本マーケティング協会 石井氏

私たち協会は検定事業や教育研修事業、また国際的な活動にも関わっているので、こうした仕組みが、今後いろいろな場面で広がっていくといいなと思っています。今回整えていただいた土台の上に、どんな発展があるのか、楽しみです。

将来のAI活用を見据え、堅実なシステム基盤とデータ整理を進める様子
AI(人工知能)とデータを活用した将来のシステム支援のイメージ

おわりに|公平で、開かれた選考を支え続ける

バンブーハウス 佐藤氏

賞の価値は、選考の確かさに支えられています。私たちの役割は、その確かさを守りながら、運営する人たちの負担を軽くすること。派手さはないかもしれませんが、いちばん大切な部分だと思っています。

日本マーケティング協会 髙田氏

これからも、公平で開かれた選考であり続けるために、力を貸していただけたら心強いです。

日本マーケティング協会 石井氏

同じように「フォームからExcel、そして共有」で運営されている団体や企業の方は、きっと多いはずです。私たちの経験が、何かのヒントになればうれしいですね。

和やかな雰囲気で今後の展望を語り合う3人の対談風景

プロフィール

日本マーケティング協会 髙田氏

髙田 綾子
公益社団法人 日本マーケティング協会
教育研修局 兼 国際事業部 兼 IT企画部 シニア・プロフェッショナル

日本マーケティング協会 石井氏

石井 円
公益社団法人 日本マーケティング協会
事務局 シニア・プランナー

バンブーハウス 佐藤氏

佐藤 英隆
有限会社 バンブーハウス
システム運用管理責任者

対談日  公開日  監修 竹内静江

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